次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
下表は、A国とB国が、農業製品または工業製品を1単位生産するのに必要な生産要素量を示している。ここで、簡単化のために、A国とB国の2国のみを想定し、それぞれの国は、農業製品ならびに工業製品のみを生産すると考える。さらに、生産要素として労働力のみを考え、両国間で労働力の移動はないものとする。
農業製品 | 工業製品 | |
A 国 | 5 | 6 |
B 国 | 3 | 1 |
(設問1)
A国とB国の比較優位、絶対優位に関する説明として、最も適切なものはどれか。
- A国は、工業製品に比較優位を持っているが、絶対優位は持っていない。
- A国は、農業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対優位は持っていない。
- B国は、工業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対優位は持っていない。
- B国は、農業製品に比較優位を持っており、かつ、どちらの製品に関しても絶対優位を持っている。
答え
イ
表内の数値は、小さいほど生産性が高いことを表しています。
「絶対優位」とは、両製品の数値において、他国の数値より両方とも小さい状態を指します。
A国の農業製品「5」はB国の農業製品「3」より大きく、かつ、
A国の工業製品「6」はB国の工業製品「1」より大きい。
言い換えれば、どちらの数値もB国の方が小さいため、
「B国は、農業製品と工業製品の両方に、絶対優位を持っている」が成り立っています。
「比較優位」の判断手順は以下の通り。
STEP
片方の製品(列)の数値を1にそろえる
まずA国について、農業製品が「5」なので、両製品の数字をそれぞれ「5」で割る。
次にB国について、農業製品が「3」なので、両製品の数字をそれぞれ「3」で割る。
農業製品 | 工業製品 | |
A 国 | 5/5=1 | 6/5=1.2 |
B 国 | 3/3=1 | 1/3=0.333 |
STEP
計算して得られた数値を比較
1.2 と 0.333 を比較。
数値が小さい方の国(B国)を指して、
「工業製品について比較優位がある」とする。
もう一方をその逆とする。
つまり数値が大きい方の国(A国)を指して、
「農業製品について比較優位がある」とする。
(設問2)
A国とB国が比較優位の原理にしたがって貿易を行おうとするとき、両国間での貿易のパターンとして、最も適切なものはどれか。
- A国は、工業製品も農業製品も輸出できない。
- A国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。
- B国は、A国に比べ同程度の生産要素の賦存量を持つとすると、農業製品を輸出するが、A国に比べ賦存量が大きいと、工業製品を輸出する。
- B国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。
答え
イ
(設問3)
産業発展を目指すA国に関して、最も不適切なものはどれか。
- 教育の充実により、比較優位を変えることで、貿易のパターンを変えることができる。
- 産業政策により、比較優位を変えることで、貿易のパターンを変えることができる。
- 生産要素賦存量を変えても、比較優位を変えることはできない。
- 比較優位を変えなくても、工業製品を輸出することで、貿易の利益を得ることができる。
答え
エ