下図は、日本の実質GDP成長率とGDPデフレータの長期統計を表したものである。この図の説明として最も適切なものはどれか。
- 1950年代後半以降、日本経済は高度成長期に入るが、1960年代後半は「神武景気」と呼ばれる長期の景気拡大が見られた。
- 1970年代前半、第1次石油ショックの影響を受けて、物価の上昇と景気後退の併存現象が見られ、日本経済は「スタグフレーション」に見舞われた。
- 1980年代には、ブレトンウッズ体制崩壊の影響を受けて為替レート制の変更が生じ、日本経済は低成長時代に入った。
- 2000年代に入ると、日本経済がデフレ傾向にあることが読み取れ、名目GDP成長率が実質GDP成長率を上回る現象が見られた。
答え
イ
〔解説〕
50年代後半 神武景気
~60年代前半 岩戸景気
60年代前半 オリンピック景気
60年代後半 いざなぎ景気
1971年 ブレトンウッズ体制崩壊
1973年 第一次石油ショック
ア:
「1960年代後半は「神武景気」」は誤り。
1950年代後半の出来事。
イ:
「スタグフレーション」とは、「景気停滞と物価上昇が同時に起こる状態」のこと。
ウ:
「ブレトンウッズ体制崩壊」とは、米国が「ドルと金の交換を停止したこと」。
これにより、各国通貨が固定相場制から変動相場制へと移行。
エ:
GDPデフレータがプラスならインフレ。マイナスならデフレ。
よって「2000年代に入ると、日本経済がデフレ傾向にあることが読み取れ(る)」の部分は正しい。
一方、「名目GDP成長率が実質GDP成長率を上回る現象が見られた。」の部分は誤り。
<公式>
名目GDP = 実質GDP × GDPデフレータ
実質成長率 ≒ 名目成長率 - GDPデフレータ変化率
2000年代以降のグラフを見ると、GDPデフレータがマイナス。よって、
名目GDP成長率 < 実質GDP成長率
となっている。
一般的に、
インフレの場合
「名目GDP成長率 > 実質GDP成長率」
デフレの場合は、
「名目GDP成長率 < 実質GDP成長率」
となる。
インフレ時には物価上昇が名目値を押し上げ、デフレ時には物価下落が名目値を押し下げる。