次の均衡GDPの決定に関する文章を読んで、下記の設問に答えよ。
総需要 \(AD\) が消費 \(C\)、投資 \(I\)、政府支出 \(G\)、経常収支(輸出\(X\)-輸入\(M\))から構成される経済モデルを想定する。すなわち、
\(AD = C + I + G + X – M\)
である。
ここで、消費関数と輸入関数はそれぞれ、
\(C = C_{0} + c(Y – T)\)
\(M = M_{0} + mY\)
として与えられ、\(Y\)はGDPまたは国内所得、 \(C_{0}\) は独立消費、\(c\) は限界消費性向、 \(T\) は租税収入、 \(M_{0}\) は独立輸入、\(m\) は限界輸入性向である。なお、租税収入、投資支出、政府支出、輸出はおのおの \(T = T_{0} 、 I = I_{0} 、 G = G_{0} 、 X = X_{0}\) とする。
他方、所得の処分は、
\(Y = C + S + T\)
として示される。ここで \(S\) は貯蓄である。
このとき、下図のように、 ① \(X-M\)線 と (\(S + T)-(I + G)\) 線の交点 \(E\) において生産物市場が均衡し、均衡GDPは \(Y_{0}\) の水準に決定される。また、②\(X-M\)線または \((S + T)-(I + G)\) 線がシフトすれば、それによって均衡GDPや経常収支の水準も変化する。
(設問1)
文中の下線部①について、最も適切な記述の組み合わせを下記の解答群から選べ。
- \((S + T)-(I + G)\) 線の縦軸の切片は、投資の水準が大きいほど上方に位置する。
- \(X – M\) 線の縦軸の切片は、輸出と独立輸入の大きさに依存する。
- 均衡点 \(E\) では、\(OA\) に相当する経常収支の赤字が生じている。
- 限界消費性向 \(c\) が大きいほど、 \((S + T)-(I + G)\) 線は、より緩やかな形状で描かれる。
- 限界輸入性向 \(m\) が小さいほど、\(X-M\) 線は、より急な形状で描かれる。
〔解答群〕
ア aとc イ aとe ウ bとd
エ bとe オ cとd
答え
ウ
(設問2)
文中の下線部②について、最も適切な記述の組み合わせを下記の解答群から選べ。
- 減税は \((S + T)-(I + G)\) 線を上方にシフトさせる。
- 政府支出の増加は \((S + T)-(I + G)\) 線を下方にシフトさせ、均衡GDPの増加と経常収支の悪化を引き起こす。
- 投資の増加は \((S + T)-(I + G)\) 線を下方にシフトさせ、均衡GDPの増加と経常収支の改善を引き起こす。
- 独立輸入の増加は \(X-M\) 線を下方にシフトさせ、均衡GDPの増加と経常収支の悪化を引き起こす。
- 輸出の増加は \(X-M\) 線を上方にシフトさせ、均衡GDPの増加と経常収支の改善を引き起こす。
〔解答群〕
ア aとc イ aとe ウ bとd
エ bとe オ cとd
答え
エ
(設問3)
経常収支に関する記述として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。
- アブソープション・アプローチでは、経常収支はGDPと国内需要(内需)の差額に等しい。
- 経常収支が黒字の場合、財政収支が赤字であれば、民間の貯蓄と投資の差額は必ずプラスになる。
- \(J\) カーブ効果が発生しない場合、為替レートの増価は経常収支を改善させる。
- \(J\) カーブ効果が発生する場合、経常収支は為替レートの減価によって一時的に改善するが、時間の経過とともに悪化する。
〔解答群〕
ア aとb イ aとc ウ aとd
エ bとc オ bとd
答え
ア